76.カリートの道

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昨日の夜は『カリートの道』を観た。アル・パチーノ熱、まだ続いている。アル・パチーノのどこがいいって、魅力は多々あれど、あの眼とあのハスキーな声がいい。あと、硬派な感じが好き(実際は知らないけど)。硬派で男っぽい感じのひとが好きだから。
映画自体は、結構ハラハラするサスペンスだった(マフィアもの)。裏切り、裏切られの応酬がずっと続いて、最後の最後で・・・嗚呼!

今日は雨の中、広東語のレッスン、それから書籍の打ち合わせに行った。とても寒くて、傘を握る指が冷たくなった。
昨日は春みたいな天気で、ベランダにクロッカスが咲いたのに、今日は花弁を閉じて縮こまっている。
早く春になって欲しい。春みたいな、じゃなくて、本当の春。もう冬物着るの飽きちゃった・・・嗚呼!

 

 

74.スケアクロウ

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曇りだけど暖かな今日は春の園芸解禁日。ベランダを掃いたり、古い土をふるいにかけたり、種を蒔いたり、やることがたくさんあって忙しい。チューリップ開花一番乗りはどうやらピンクの株のよう。既に蕾が膨らんでいる。

夜は、DVDで映画『スケアクロウ』を観た(アル・パチーノ熱冷めやらず)。カリフォルニアで出会った、喧嘩っ早い大男のジーン・ハックマンと人懐っこい小男のアル・パチーノという、性格も体格も正反対のふたりが、北(デトロイトとピッツバーグ)を目指す道中、友情を深めていく物語。こんな地味な映画がアカデミー賞を取っていた時代もあったんだなあ、としみじみ(でも、すごく味わい深い映画!)。ラストは、アル・パチーノが旅の終りに辿りついた一件によって錯乱状態に陥るという、アメリカンニューシネマど真ん中のものだけど、ほかのアメリカンニューシネマ作品とは違って暗さがなく、暖かい気持ちになるところが良かった。
それにしても、アル・パチーノの映画は後をひく。観終えてからもしばらく余韻にひたってしまった。大きな噴水の前で、徐々に精神に異常を来し始めるアル・パチーノの演技は圧巻、せつなかったし、最初は頑ななキャラクターだったジーン・ハックマンが後半では、ストリッパーの真似をしてみせるまでになるところなどもじーんときたし、撮影も良かった。美しかった。←ロードムービーではこれは大事。

 

 

71.春待ち

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この2月は長く感じた。香港にいっていたことも関係しているとは思うけど、ちっとも短くなんて感じなかった。まだかな、まだかな、と、首を伸ばして春を待っているせいだと思う。すべてが足踏み状態。早く飛び出したい気分なのに。

今夜の映画鑑賞は、ジョニー・トー監督『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』。このところアメリカ映画ばかり観ていたから余計強く感じるのだと思うけれど、とにかく香港ノワール、銃撃戦が速い、速い!シュッ!シュッ!シュッ!パンッ!パンッ!パンッ!という感じ。それにくらべてアメリカ映画の銃撃戦の鈍重さといったら・・・。力の強さはどうだか知らないけれど、体のキレの良さは東洋人にかなわないかもね。クンフーの国ですもんね。映画のほうは、主演ジョニー・アリディで日仏合作だったから、あまり期待していなかったのだけれど、舞台はマカオと香港、ジョニー・アリディとその娘役以外は、全員香港スター、いつものジョニー・トー組(アンソニー・ウォン、サイモン・ヤム、ラム・カートン、ラム・シュー)。スカッと楽しめる1時間40分でした(カメラがきれいだった)。

 

 

70.今年もよい年

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午後、日が射していたので、久しぶりにベランダの掃除と鉢花の手入れを2時間ほど。小鳥がパンくずのお礼に落としていく小さなうんちも全部水で流して片づけた。
今年は真っ赤なビオラがたくさん花をつけている。一度、刈り込んだのにわさわさと苺の実みたいに咲いている。いま、他に咲いているのは、コスモス、マリーゴールド、スミレ、ビオラ、アネモネ、ヒヤシンス、沈丁花、ブリムラ(5色)、シクラメン(3色)。ベランダが赤やピンク、オレンジ色でいっぱいだと幸せな気分になるのは、私だけだろうか。

今年(申年)は、いろいろと望みが叶う年なんじゃないかな、って思う。
花もどんどん開いていくし、暖かくなったら薬を減らしましょうとお医者様も言っていたし、こなす体力がついてきたから仕事も増えそうだし、小鳥がくるベランダに、と願っていたことも実際叶った。
よい一年になりますように、と毎年願っている。楽しかったな、と思える一年に。

夜、もう一度『クルージング』を観直す。結末をわかって観たら、最初のほうに犯人が出てきていた!でも、怖いのは変わらなかった。アル・パチーノのダンスのシーンとか、じわじわ来るってこういう感じのことかも。

 

 

68.パンくず

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今週前半の曇天から打って変わって昨日から青空が続いている。たとえ気温が低くても、陽が射すと気持ちが明るくなっていい。昨日は、ベランダにメジロが来て、可愛い歌声を聴かせてくれた。この頃、毎日、何種類もの鳥がやってくる(パンくずをお皿に乗せて外に出しているせい)。世の中は猫ブームらしいけど、私の部屋は野鳥ブーム。賑やかな朝と花の香りに幸せを感じる。

夜は、アル・パチーノを追いかけて、ウイリアム・フリードキン監督『クルージング』を観た。ゲイばかりが襲われる連続殺人事件が起こり、囮として潜入捜査に入った若い警官(アル・パチーノ)が捜査を続ける中で自己が揺らいでいく物語。ハードゲイの世界が舞台になっているので、そっちに話題がいきがちだけど、それはあくまで設定なので、私はそれほど刺激を受けなくて、でも、なんだか後をひく映画だった。ミイラ取りがミイラになるストーリーもそうだし、ラストのアル・パチーノの表情とか。単純にサイコ・サスペンスとして面白かったです。というか、怖かったです。というか、実際、「怖い怖い!」と言いながら観ました。首を傾げたくなるシーンもあったけど、やっぱり最後がね、え?え?え?ええええええっ? みたいな、映画ならではの終り方が良かった。いまのところアル・パチーノ作品にはハズレがない。

 

 

67.曇天鬱々

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ここ数日、曇天が続き、気が滅入ってさっぱり仕事が捗らない。あと二週間もすれば春が来るのに、踏ん張りの効かない自分にもイライラ。
打ち合わせの後、その話をすると、事務所スタッフYが「越智さんのところ(ディリジェンスパーラー)に行って花でも買ってきたらどうですか」と言う。
確かにそれはいい考えかも。
早速電話をして表参道に向かう。
いつも忙しそうな越智さんだけど、運よく余裕がある日だったようで、気晴らしのお喋りに長々とつきあってもらった。
元気が出てきたところでヒヤシンスの切り花を買い、帰宅。
『ゴッドファーザー パート3』の続きを最後まで観る。
パート3は蛇足という意見もあるけど、これはこれで私は面白いと思った(暗いけど)。
そして、相変わらず、花の使い方が素敵だった。

打ち合わせ 越智さんとお茶 ヒヤシンス ゴッドファーザー アル・パチーノ死ぬ
(一日を五・七・五・七・七にまとめてみる試み)

 

 

62.ストレート・ノー・チェイサー

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取材の準備でセロニアス・モンクのドキュメンタリー映画『ストレート・ノー・チェイサー』を観直す。やっぱり面白い。私のモンク好きも25年を経てしまったと思うと感慨深いものも加わって。

この頃、5年前を最近と言い、少し昔と感じることを20年前と言っている自分に気づく。

明日はハニカムの鈴木編集長に会う。鈴木さんに会うのはいつも少し緊張する。年が近いひとと会う緊張。
年が離れていないと恋愛感情を抱けないというひとが時々いるけれど、わからなくもない。
年が近いと会話が本気の卓球みたいになってしまう。

最近、仕事ばかりしていて、お友達にあっていない。寂しい。

 

 

58.ゴッドファーザー

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東京大雪。積雪6センチ。

夜、『ゴッドファーザー』を鑑賞。こんなに映像が綺麗な映画だとは知らなかった。どうしていままでこの映画を観なかったのだろうと感動しつつ悔やむ。ネオンの綺麗なイタリアンレストラン、ドン・コルレオーネの可愛らしいトマト畑、お葬式のシーンの墓地にお花を摘んだ車がどんどん入って行くところ・・・美術が隅々までいい仕事している!それもそうよね、考えてみれば、コッポラは『ワン・フロム・ザ・ハート』の監督だもんね、とひとりごち。そして、ここのところ、アル・パチーノの作品を立て続けに観て、彼の魅力も段々わかってきた。アル・パチーノ、好きになるかもしれない(役者として)。『ゴッドファーザー』はパート2が一番面白いと言われているから、続きを観るのがいまから楽しみ。

 

 

52.わが道

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新藤兼人監督『わが道』をDVDで観る。青森県十和田市から名古屋へ出稼ぎへ出た初老の男が東京で行き倒れ、病院、役所、警察の怠慢により、身元不明人として処理され、医大の解剖実験材料にされていた――その事実を知った妻が裁判を起こすという、現実にあった訴訟を映画化(裁判闘争記録『ある告発−出稼ぎ裁判の記録』が原作にあたる)。夫の役を殿山泰司、妻の役を音羽信子が演じていた。脇には錚々たる演劇人が大勢出演。内容は寒村の貧困、出稼ぎの問題を扱った社会派ながら独立系プロダクションの作品とは思えない豪華な顔ぶれに、まるでオールスター映画を観ているかのような奇妙な派手さが。それはともあれ、映画に映し出される寒村の貧しさは、住宅地育ちの私にはトラウマになりそうなほどの厳しさ。いまの農村の状況がどうなっているのかさえわからずにいる私だから、ただひたすら、農村怖い、寒村怖い、胸が痛むのを通り越して恐怖に顔をひきつらせること数回。観て良かったなあと思うし、よくできている映画だと思うけど、開けてはいけない哀しみの箱を開けてしまったような後味。ラストシーン、夫と営んでいた食堂を振り返る音羽信子のショットが深く印象に残った。

 

 

48.顔が見える

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頭を使わなくていいような映画が観たくなって、Amazonの動画配信で『ルパン三世』を鑑賞。キャスティングにブーイングの渦だった実写版のあれ。
でも、小栗旬のルパンはそれほど悪くなかった。童顔なのはどうなのかと思ったけど、ひょろっとしているところはアニメのルパンに近い気もしたし、喋り方も山田康雄ルパンをよく真似ていて、栗田貫一がルパンの声をやめたら、小栗旬が後を引き継げばいいのにと思った。
黒木メイサの峰不二子、浅野忠信の銭形警部、綾野剛の石川五右衛門については、まあ、これはこれでいいんじゃないの、という感じ。
だけど、さすがにそれは変だって!と思ったのは、玉山鉄二の次元大介。役者の希望なのか、監督の希望なのかわからないけど、ハットのかぶり方が全然次元大介じゃない。常に顔が出ていて、あの原作のストイックな雰囲気はまるでなし。グイグイ前に出てきて、ルパンとツートップ張っているひとみたいに見えた。あと、全然早撃ちに見えないところも・・・。
そもそも、次元大介のモデルってジェームズ・コバーンだったはず。ジェームズ・コバーンと玉山鉄二、比べるのは残酷だけど、方向が全く違うよなあ、そしてカッコよさの格も違う、と、原作を読みふけった人間はそこに強烈な違和感を覚えたのでした。そして、世界を股にかけた感じがまるでないというのが、日本人にはスケールの大きなものは撮れないのかな、と寂しく感じた点でした。ただ、B級映画を観たような、そういう楽しみはあったかもしれない。・・・いや、なかったかもしれない。なかったか・・・(でも、ダメそうな映画を狙って観るのが好きなの)。