08.悲情城市

TLTSA08

東京フィルメックスのホウ・シャオシェン監督特集上映を観るため、母と妹を誘い、有楽町へ。
以前、母と台北に行ったついでに九份まで足を延ばしたことがあったので、九份を舞台にした映画『悲情城市』をぜひとも母に観せたかったのだ。また、『悲情城市』は、玉音放送から始まり、二・二八事件、蒋介石の国民党が台北を臨時首都と制定するまでを描いた歴史映画でもあるので、この辺りのことをリアルタイムで知っている母の感想を聞いてみたいという興味もあった。

上映後、ホウ・シャオシェン監督へのQ&Aの時間が設けられ、興味深い話もいろいろ出ていたが、その後、もう一本、シルヴィア・チャン監督の作品『念念』を観ていたら、思わせぶりなシーンが多い作品だったため、頭の中でストーリーをつないでいくのにものすごく疲れて、会場を出る頃には私の具合はすっかり悪くなってしまった。とりあえず母と私はビルの中のベンチに腰掛け、私の動悸が落ち着くのを待ったが(妹は『悲情城市』だけを観て先に帰った)、なにしろそんな状態だったので映画の感想を語り合う余裕などなく、トニー・レオンの色気はすごい、という話をするだけで精いっぱいに終わった。トニー・レオンのファンでもないのに、これではトニー・レオンファンの母娘の会話みたいだ。