14.女の三択

TLTSA14

TOHOシネマズ新宿で母とともに「 新・午前十時の映画祭」、『宋家の三姉妹』を観る。DVDでも持っているが、大きなスクリーンで観たかったし、母の感想も聞いてみたかったので。

少々説明を加えると、『宋家の三姉妹』は、進歩的な思想を持つ父のもと、清朝末期のブルジョワ家庭に育った姉妹の物語で、長女は後に中国初の銀行をつくる大富豪と、次女は後に辛亥革命を起こし、国父と崇められる孫文と、三女は国共戦争で国民党を率いる蒋介石と結婚する。つまり、中国史を夫たちの傍らで動かし続けた三姉妹の物語なのだ。そして、まさに激動の時代を生きる三姉妹を、ミシェル・ヨー、マギー・チャン、ヴィヴィアン・ウーという中国を代表する美人女優が演じている。同時に、「一人は金と(長女)、一人は権力と(三女)、一人は国家と(次女)結婚した」と言われたように、仲睦まじい三姉妹ながらも個性が少しずつ違っていて、女の生き方についても考えさせられる映画でもある。衣裳はワダエミ。見どころたっぷり。
ちなみに初めて観たときは、夫の思想を未亡人になってからも守ろうとする次女に魅かれたが、マギー・チャン自身が、次女は夫への愛にしばられて(=彼の思想を守ることに人生を捧げてしまったために)自分を生きることができなかったひとだ、と言っているのを聞いて、それもそうだな、といまは思っている。

帰りは母と久しぶりに鼎泰豊でランチ。熱々の小龍包に舌鼓を打ちながら、「三姉妹の誰かになるなら、私は、長女でいいわ、お金と結婚する。夫の思想とは関係ないところで自分の好きに生きたいもん」」と私が言うと、「また、あなたはそんなことを言って」と母に笑われた。実際は、相手が孫文ほどのひとだったら、やっぱり私も次女みたいに生きるのだろうなあ、と頭の隅で考えつつ。