東京フィルメックスのホウ・シャオシェン監督特集上映を観るため、母と有楽町へ。
『風櫃(フンクイ)の少年』*と『戯夢人生』*を観る。
『戯夢人生』が2時間20分の長尺で、最初の半分ぐらい眠ってしまった。
まだ二本立ては私の体力では無理なのかもしれない。
『風櫃(フンクイ)の少年』はホウ・シャオシェン監督自身がモデルになっている青春映画。田舎の村で不良仲間と遊びふけり、仲間とともに地方都市に出てくるがそこでも生き甲斐を見いだせない。だけど、私は、自分のことを鑑みてもそうだったように、若い頃ってそんなもんだよな、という気持ちになった。さらに言えば、その途方にくれた生活こそが、大人になると誰の中にもキラキラした若さとして記憶に残る。つまりは青春時代こそが『戯夢人生』ということか。
終演が早かったので、帰りに母が私の家に立ち寄った。
洋服を見たい、というので、クローゼットの扉を開けると、GUCCIやシャネル、ドリス・ヴァン・ノッテンの服を手に取り、やっぱり洋服は楽しいわねえ、と嬉しそう。母は大学で音楽を勉強した後、洋裁の学校をも卒業している筋金入りの洋服好きなのだ。その血を分けた私と妹。先々週、私が二十代の頃に穿いていたバーバリーのミニスカートをすべて妹に渡したのだけれど、サイズを直し、もう姪はそのスカートを穿いて幼稚園に通っているらしい。四歳で既にバーバリーとは贅沢なのか、叔母のおさがりを直して穿いているのだから質素なのか。いずれにせよ、二十年たってもバーバリーのスカートの生地に綻びはない。