36.どんなに好きでも

TLTSA36

午後、PR誌連載の打ち合わせ。
いろいろと説明を受けたし、こちらも提案をしたけれど、最終的に私に決まるのかどうか、よくわからなかった。
頭がぼんやりしていたからそう感じたのだろうか。
クライアントありきの話のため、誰も結論を言わないせいもある。
でも、もし、私に機会が与えられるならば、書いてみたいとは思っている。
香港とは違う街の人々の話を。

4月から連載『香港スタイルミルクティー』は再開させる。
だけど、旅。街。行き交う人々。不必要とされる場所にいる居心地の良さ――正直、香港以外の街のことも書いてみたいと思うのだ。
もちろんいまも香港は大好きな街。その気持ちは変わらない。
だけど――パリにいたときもそう思ったけれど――どんなに好きでも、何かを/何処かを、ファナティックに愛するところまで私はいかない。

パリのいいところ、コペンハーゲンのいいところ、ウランバートルのいいところ、ムンバイのいいところ、
上海のいいところ、プラハのいいところ、サンクトペテルブルグのいいところ、ザルツブルグのいいところ・・・。
行けば行っただけ、どの街にも魅力があった。
日本を旅しているときにもそう思う。
行けば行っただけ、どの街にも魅力がある。
そして、その魅力だって、絶対的なものというよりは、旅を重ねる中で見つけた「差異」そのものであることのほうが多い。

この頃、私は、香港の話を避けているかもしれない。
食べ物と買い物の話はもうたくさん、と、心のどこかで思っている。