元旦。いつも通りの時間に起きて仕事を少し。特に出かける用事もなく。
夜、DVDで『アメリカン・ビューティ』を観る。いい映画だった。妻は外に恋人を持ち、高校生の娘は家出しようとする、主人公の中年男性は、広告代理店をリストラされ、ハンバーガースタンドの店員へと転職――要素だけ並べれば、家庭が崩壊していくように見えるのに、実は家族それぞれがどんどん自由を取り戻していく、つまりどんどん真の幸福に近づいていく話だった。そして、ひととしての優しさも一家は取り戻しかけるのだが。なにしろ脚本がいい。タイトルもいい。邦題では削られているサブタイトル、“look closer”。もっとよく近づいて見て、というのは、孤独を感じている人間、誰しもの願いなのかも、と考えたり。だけど、物語は悲劇で終わる。そして、悲劇で終わるのに、それでも暖かい気持ちになるストーリー。そこがまたいい。本当にいい脚本。最後のモノローグが最高。
《こんなことになって腹が立ってるか?
美のあふれる世界で 怒りは長続きしない
美しいものがありすぎると それに圧倒され
僕のハートは風船のように破裂しかける
そういう時は 体の緊張を解く
すると その気持ちは
雨のように胸の中を流れ
感謝の念だけが後に残る
僕の愚かな とるに足らぬ
人生への感謝の念が
たわ言に聞こえるだろう?
大丈夫
いつか理解できる――》
アカデミー賞受賞作と知らずに借りたのだけれど、元旦からいきなりアタリをひいたような気分。